

この玉を切ってみたら、中に小さな空洞があり、そこから何かが外へ出た形跡がありました。これは「虫こぶ」と言われるものです。おそらくこの玉の中に虫の幼虫がいたのでしょう。
「虫こぶ」は、虫が寄生することで植物の細胞に異常がおこり、そこが変形したり、大きくなったり、または成長しなかったりすることによってできるものです。ですから、上の写真のような玉になるものばかりではなく、いろいろな形のものがあります。「虫こぶ」の原因になる虫は、タマバエやタマバチ、アブラムシなどです。





ですから、このような植物の“こぶ”を総称して「ゴール」と呼ぶのだそうです。
植物の葉に“こぶ”がついていたり、芽が異常に変形肥大していることがあり、内部を調べてみると“虫”が見つかることが多い。そのため、この“こぶ”は虫こぶ、あるいは虫えいと呼ばれた。しかし、このような“こぶ”が、虫(昆虫類)ばかりではなく、ダニ類や線虫類、さらに細菌や菌類(カビ、キノコ類)によってもつくられることがわかってきた。そのため、これらの“こぶ”を虫こぶ(虫えい)と呼ぶのは不適当となり、まとめて“ゴール”と呼ばれることが多くなった。
薄葉 重 著 「虫こぶ入門」 (株)八坂書房発行 より
林や森に入ったとき、ちょっと注意して植物を観察すれば、きっといくつかの“ゴール”を見つけることができるはずです。
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